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Nathalie Wise / film, silence
Nathalie Wise
ファイブスターズ
(2003-05-30)

試聴 試聴

近所の野草園に行ってきました。標高が高いためか、期待したような色とりどりの花はまだ余り咲いていませんでしたが、足下に小さなみどりがにょきにょきと生えていたり、若木の先端から新しい芽が出ていたりと、新しい命の息吹きと循環する季節を感じることができました。寒くて無彩色の冬から彩りの豊かな春へ。空気がやわらかで過ごしやすいこの時期は大好きです。

で、そんなやわらかな風を感じながら聴くのにぴったりなのがこのナタリー・ワイズ。妻に教えてもらって何年か前に聴いたのですが、先日ふと思い出して聴いてみたら当時よりもジャストフィットに感じました。メンバーは斉藤哲也(Key)・BIKKE(Vo)・高野寛(Vo,G)の三人。Tokyo No.1 SOUL SETが活動休止を発表した後のBIKKEのプロジェクトという印象が強くて、当時はずいぶん地味シブだなあと思っていました。ドラムレスで流れるような曲調、高野寛のボーカル。

そして今年の春。地味シブという印象は変わっていませんが、いまはこういう音楽がしっくりきます。生楽器をメインにしたドラムレスで流れるような曲調も、高野寛のボーカルも、春のやわらかな空気を優しく包んでくれるようなのです。そしてBIKKEのスポークンワーズが実に良くハマってます。いまの気分で言うならソウルセットよりもハマっている気がする。
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| Pops | comments(7) | trackbacks(0) | pookmark |
Jun Miyake / Stolen from Strangers
JUN MIYAKE
ビデオアーツ・ミュージック
(2007-10-24)

試聴 試聴

ゾクゾクした。。。僕の中ではsusumu yokota以来の衝撃。三宅純。こんな日本人がいたとは!ジャズもボッサもエレクトロニクスも現代音楽も飲み込む、素晴らしすぎるセンス。世界に誇れる音楽家ではないでしょうか。リーダー作としては7年ぶりという本作『Stolen from Strangers』は、制作に5年をかけ自ら立ち上げたレーベル“drApe”からリリース。

幕開けはアート・リンゼイがボーカルを執るボサノヴァ調のナンバー。しかしこの密度の濃さはどういうことだろう。音の鳴り方は至極さり気ないものなのだが、ひとつひとつの音がじりじりと絡み付くように妖しく、ひりひりと焼け付くような温度を孕んでいる。曲調はソフトなのに全くリラックスできない!そわそわする。この得体の知れない妖しさこそが本作の魅力の神髄にあると思う。この人は狂気を知っている。またそれを俯瞰する冷静な眼を持っている。すなわち優れた芸術家でありデザイナーであり演出家であり演者である。このアルバムが織りなす異様な緊張感は、狂気と紙一重の研ぎ澄まされた感性が成し得るものだ。だからこそひとつひとつの音が芸術的で、儚くも美しい。

前述したアート・リンゼイの他にもアルチュール・アッシュ、サンセヴェリーノ、ヴィニシウス・カントゥアリア、ピーター・シェラー、ブルガリアン・ヴォイスなど様々なゲストを迎えて、映画音楽のようなナンバーから昭和歌謡風のものまで、バラエティに富んだ曲が集まっている。フレンチの香りを軸に、一分の隙も無いハイブリッドな完成度は圧倒的なまでの緊張感を生み、そのどれもが妖しく魅力的であり、アルバムを聴き終えた時に残るのは濃密な余韻。

流麗なメロディに心を癒されたり、躍動するリズムに身を任せたり、歌詞に自分を投影させたりと、音楽の聴き方・楽しみ方には様々なアプローチがあると思うが、本作に於ける快感は“芸術に触れる喜び”だと思う。かと言って小難しい音楽にはなっていないのがすごいところでもある。
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Morphine / Good
モーフィン
ビデオアーツミュージック
(1996-06-25)

試聴

かつてMorphine(モーフィン)というバンドが存在した。先日紹介したソウル・コフィングと共に、'90年代中期のロック・シーンに於いてひときわ異彩を放っていたバンドだ。しかし当時まだ若かった僕はソウル・コフィング以上にこのバンドはさっぱり理解出来なかった。でもずっと気にはなってた。

そして今になってこのバンドの異様な格好良さがわかるようになった。言うなれば大人のロック。モーフィンの音楽は夜にこそ似合う。夜の帳がおりる頃に彼らのステージは幕を開ける。闇の彼方から近づいてくるベースの音、パーカッシヴで軽快なドラムス、低音を奏でるバリトンサックス、絡みつくようにセクシーなボーカル。二弦スライドベース、ドラムス、バリトンサックスの三編成という形態もユニークながら、彼らの音楽性の特徴を一言で表すならばそれは「低音」の魅力だ。デビュー盤である本作にして既にそのスタイルは確立されている。
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R.E.M. / Around the Sun
試聴 試聴

前作『Reveal』での開放感に比べると、このアルバムは暗く重い。今だから断言できるが、間違い無く影響を与えているのは前作のリリース後に起こった”9.11”。未曾有の大事件の後、混迷を極めるアメリカの姿を反映するような作品になった。

リリースは2004年、大統領選イヤーである。彼らは政治色の強いバンドとしても人気であり、1988年の『GREEN』は大統領選挙日と同日に発売され「Two Things To Do November 8(11月8日にすべきふたつのこと──アルバム購入と選挙に行こう)」という宣伝文句を謳ったりしている。本作がリリースされる前年の2003年、ブッシュ政権は半ば強引にイラク戦争へと突き進んだ。これには国内から反対の声も多く、R.E.M.はエミネムやマイケル・ムーアらと並び反ブッシュを掲げ、民主党への投票を訴えた。

ただしこのアルバム自体は、マイケル・ムーアの作品のような直接的にブッシュ政権への怒りに満ちたアグレッシブな作品では無い。このアルバムから感じられるのは、圧倒的なまでの”哀しみ”だ。冒頭から、ちょっと切なくなる程につらく哀しい曲調が続く。ここでの彼らのまなざしは、政権そのものよりも現場の方を向いている。無謀な政策のツケを払わされるのは一般市民なのだ。戦争をけしかけるのは机の上の官僚で、実際に心の傷を負うのは現場の兵士なのだ。この捩じれた社会の中で生きる”哀しみ”がひしひしと伝わってくる。
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R.E.M. / Reveal
マイケル・スタイプ,ピーター・バック,マイク・ミルズ
ワーナーミュージック・ジャパン
(2001-05-09)

試聴

Automatic for the People』があまりにも傑作すぎたため、他の作品(彼らのディスコグラフィ)を把握しきれていない。このアルバムは『UP』の次にリリースされたやつかな。ジャケットも地味だし、最初のちょこっと聴いた印象が地味だったのでほとんど聴いてなかった。”あ、こんなアルバムもあったっけ”と手にして改めて聴き直してみたら驚いた。すごくしっくりきた。

ちょっと話が変わりますが、我が山形は温泉天国で、身体の疲れた日なんかはよく近所の日帰り温泉に寄ったりします。温泉好きな人なら共感して頂けると思いますが、湯船に浸かった瞬間に思わず「あ゛〜〜〜」という声が漏れる感覚ってわかります? 家のお風呂やスーパー銭湯の沸かし湯とは明らかに違う、身体の中に沁み込んでくる感じ。温泉成分なのか湯温の熱さなのかわかりませんが、身体の細胞の一つ一つが温泉から滋味を吸収していくような感覚が堪らなく気持ちよいのです。

で、僕にとってR.E.M.の魅力というのはまさにそういうクオリアにあるんです。癒し系といえばまあそうですが、そこから生命の活力も感じる事が出来る。なんかもう、マイケル・スタイプのボーカル自体からアルファ波が出ているんじゃないかと。
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Mike Doughty / Golden Delicious
試聴

ソウル・コフィングでボーカル&ギターを担当していたマイク・ドーティのソロ作。僕は最近まで彼がソロ活動をしていることを知らなかった。これが3枚目のアルバムになるらしい。

後期ソウル・コフィングでもロック寄りなサウンドを見せていたが、ここでは更に振れきった感じで、まあなんと清々しいロック。1曲目の泣きのメロディなんかはソウル・アサイラムを彷彿とさせるし、実際にデイヴ・マシューズとも親交があるらしく、いわゆるアメリカン・ロック的な乾いたバンド・サウンドを聞かせてくれる。もともとフォーク・シンガーとして活動していただけあって、こういう音がおそらく体の基本にあるんだろう。
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Soul Coughing / El Oso
ソウル・コフィング
ポリドール
(1998-10-21)

試聴

残念ながらラストアルバムとなった3作目。プロデューサーはチャド・ブレイク。彼らの場合、とにかくデビュー・アルバム『Ruby Vroom』が素晴らしかったために、2〜3枚目はあまり話題になることも無かった気がする。僕も、デビュー盤が最高であることに異存はないけれども、本作もなかなかチャーミングなアルバム。

前作からの流れを汲むサウンドは、だいぶロック寄りで、デビュー盤でのミクスチャー感に比べるとかなりすっきりしている。特にベースとドラムスのリズム隊が割と単調というか、ルーズで混沌としたグルーヴが彼らの大きな魅力でもあった事を考えるといささかシンプルすぎる気もする。Mドーティはラップ風リーディングをほぼ封印し、しっかりとメロディを歌うようになった。つまり、バンドとしてロック的なダイナミズムを得た。もちろん彼らならではの遊び心を感じさせるサンプリングやユルい雰囲気は健在。どこか牧歌的な印象を受けるこのユルさが、このバンドのチャーミングな魅力だと思う。
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